【ブラッドボーン】フロム作品のオマージュ、元ネタについて考える【翻訳記事】
皆様、ごきげんよう。早いもので今年も折り返し地点の頃となりました。夏の兆しが感じられる向夏の折、いかがお過ごしでしょうか
今回の記事はフロム作品、より具体的に言うと私が推している宮崎さんが手掛けた作品のオマージュ、元ネタ、パクリについてZullie the Witchさんが解説していたのを翻訳し、部分的に内容を補足した記事となります。
はじめに
このブログを読んでいる方に宮崎英高さんの説明はいらないと思いますが、軽くふれておくとフロム・ソフトウェア代表取締役社長でありながら開発前線のディレクターとして活躍しているゲームクリエイターです。彼が手掛けた作品は独特な世界観が評価されていて、しばしばその湧き出る独創性や感性はどういった作品の影響を受けて生まれたのか話題に上がります。
インタビュー記事や出演していたWEBラジオでは西洋の小説やゲームブック、テーブルトークRPG(TRPG)などを明言されていて、代表的な例としてはスティーブ・ジャクソン作の『ソーサリー』(Sorcery!)が挙げられています
また、TRPGで影響を受けていると明言されているのはケイオシアム社が発売していたルーンクエストの『ドラゴン・パス』です
余談ですが、この古のTRPGを検索しているときに『ドラゴン・パス』なのか『グローランサ』あるいは『ルーンクエスト』かよくわからない事に陥りがちでした。要約すると
上記となるのですが、これも良くわからないのでダークソウル3で例えましょう。
いかがでしょうか。厳密には違うのですが、大体こんな事だと理解しています。間違っていたらご指摘ください。
クラグスパイダーと混沌の娘クラーグ
ドラゴン・パスの話を続けると、『ダークソウル』の「混沌の娘クラーグ」がインスパイアされているという事が「ダークソウル・デザインワークス」で語られています
左の吹き出しでZullie the Witchさんが引用しているのは巻末インタビューの一節
宮崎「(前略)じつは、クラーグには、イメージの現泉みたいなものがあって。ボードゲーム『ドラゴン・パス』っていうのがあるんですが、私はこれがすごく好きで、その中に、クラグスパイダーっていう独立勢力のユニットがあるんです。名前と、パラメーターと、すごく小さなチップに印刷されたシルエットだけなんですけど、なぜか印象に残っていて、あれこれ想像していて。結局、ぜんぜん違うものになっていると思いますけどね。私自身、『ドラゴン・パス』に限らず、古いテーブルトークとかゲームブックとかが好きで。(中略)」
佐竹「ぐしゃぐしゃの手垢まみれ状態になった古い文庫本を広げて、ここのコレみたいに言われることよくあります(笑)。」
ダークソウル・デザインワークス
マジック・ザ・ギャザリングの影響
古いテーブルトークとかゲームブックが好きな宮崎氏が他に好きなものとして、マジック・ザ・ギャザリング、通称MTGも挙げられます。過去に発言していたWEBラジオでは大学でMTGを扱うカードゲームのサークルに入っていたとか。また、同ラジオで生涯他のゲームを遊べないとしたらどのゲームを選びますか?という質問に対して「MTG」と答えていた所から、かなりのファンであることが伺えます。
そして2011年の晩年、MTGはゴシックホラーをモチーフとしたイニストラードというの舞台のエキスパンションを発売。大テーマの「ホラー」を表現するために吸血鬼、狼男、ゾンビ、幽霊などの部族が登場しました。
同時期に『ダークソウル』が初めてPS3とXBOXに発売。その後、フロム・ソフトウェアは各種アップデートやDLCなどでサポートを続けますが、その頃にはイニストラードの小型エキスパンション、「闇の隆盛」と「アヴァシンの帰還」が発売されます。
「アヴァシンの帰還」が店頭に並んでいた頃『ダークソウル』はPC版のPrepare to Die EditionとDLCの開発終盤でした。そして、宮崎氏がソニーとPS4独占タイトルを共同開発始めたと、噂されました。
クラグスパイダーの制作時のように、宮崎氏がMTGのカードを当時の開発に広げて、「ここのコレみたいに」と共同開発で言ったことは想像に難くないことです
ブラッドボーンの影響
ここまではイニストラードがブラッドボーンの元ネタだったり、オマージュしたという仮定ですが、時を経てその逆もまた然りといった見方もできるのが面白いところです。
ヤーナムはイニストラード同様に吸血鬼、狼男、ゾンビ、幽霊など跋扈するゴシック・ホラーですが、同時にラブクラフト作品のようなコズミック・ホラー要素もあります。
ブラッドボーンが発売された1年後、イニストラードには追加カードセットの「イニストラードを覆う影」と「異界月」が発表されます。キャッチコピーは「事変の謎を追え」。テーマはイニストラードを覆う「狂気」と「謎」。
再びイニストラードが舞台となったMTGではエルドラージの「エムラクール」がその世界を覆ってます。エルドラージとは次元の狭間から現れた怪物で、コズミック・ホラー要素として上位者がヤーナムを覆ってた所と似てますね。
そしてストーリーのクライマックスではエムラクールはイニストラードの月へ封印されます。ブラッドボーンに於ける月の魔物の立場の類似性に注目が集まります。
エムラクールが封印されてから夜が長くなり、魔物たちは豪奢な生活を営み始めます。最新のイニストラードの作品、「真夜中の狩り」や「真紅の契り」では「オリヴィア・ヴォルダーレン」が結婚式を開こうとしています。
吸血鬼... カインハースト.... オリヴィア....アンナリーゼ....婚姻の指輪。
また一つ、『ブラッドボーン』と『イニストラード』の不思議な繋がりが増えました。
すべて、単なる偶然の一致....ですよね?しかし、これらすべてを偶然の一致と一蹴するのは、より不気味ではないでしょうか?
最後に
通読おつかれさまでした。あとがき、というか余談ですが、邦訳版「ドラゴン・パス」パケ絵のキャラがエルデンリングに普通に居そうですね。もし、そういった同じ感性を持ったそこの貴方、ダクソの源流を感じられる「ルーンクエスト」おすすめです。ガチドマイナーTRPGで全然情報がないのでネットで情報を見つけたときに達成感を味わえます。
参考資料